森林の思考・砂漠の思考

森林の思考・砂漠の思考 (NHKブックス 312)

森林の思考・砂漠の思考 (NHKブックス 312)

人間の思考には森林的思考と砂漠的思考の二つがあるそうです。
森林的思考は、草木が茂り、枯れ、土に戻り、再び草木が茂るという、輪廻転生の世界で生きてきた人たちの思考とのこと。そこは、大地の神、太陽の神、水の神、といった多神教の世界だそうだ。
砂漠的思考は、砂漠化した地域の生命線は川の水であり、水の有無が生存を決めるという、YES/NOの二択の世界で生きてきた人たちの思考とのこと。そこは、一神教の世界であり、輪廻転生ではなく、天地創造と終末という考えが支配的だそうだ。
日本人は元々は森林的思考の民族であったが、近年は砂漠的な思考も入り込んできているらしい。
本書は、どちらが良い悪いを論じるのではなくて、2種類の思考の原因が地域性にあることを紹介している。そして、その思考・思想が歴史の中で交わっていく時代と、その時代の地域に特有の物の伝搬(地域の境界線の移動・浸食)とに着目して、説明しているのが興味深い。