Seasar Strategies Day 2005

3つのストラテジーって観点で発表が行われた。

パートナー・ストラテジー

ISIDでS2のサポートサービスと始めるそうだ。こういうのは、どこかがサポートを行っているという事実が重要なので、良いことだろう。サポート範囲と価格については、けっこう微妙な所を突いている。私は仕事でPostgreSQLサポートサービスを何年もやっているが、今回発表されたS2サポートは本当に微妙な線を突いていて難しいなぁ。オープンソースに対する社会貢献と、企業としての利益は、巧い具合に一致するのは難しくて、今のところ相反する要因だと感じている。発表された内容は、かなり悩んだ末に決めたと思うのだが、社会貢献と企業利益の妥協できる中間点のように思った。しかし、どっちつかずは、どちらにもならないと感じてる。この問題は本当に難しい。私の仕事でもあるPostgreSQLサポートサービスの範囲と価格は、数年間OSSビジネスを続けてきた末の価格体系であるが、それは対象がDBになる。S2では、また違う体系となるだろう。ISIDも、かなり大変だろうと思うけど、諦めずに継続して欲しいところだ。
それと、教育サービスは是非ともやって欲しいと思う。私はPostgreSQL/Tomcatレーニングのセミナー講師もやっているが、S2コースも作っちゃおうかなと思うこともある。でも、S2って使うのは簡単だから、コースとして作るのは実は難しいと思っている。

プロジェクト・ストラテジー

Seasarプロジェクトのビジョンや、今後の方向性、NPO組織設立の中間報告や、Seasar専用のサーバや回線の確保などの話。OSSプロダクトというのは、ソフトウェア自体の品質や効果などの価値が一番重要なのは確かにそうなのだが、それだけでは巧く行かない場合も実は多い。システム開発において、Apacheなどの有名なソフトを採用することを顧客が了承する事があっても、高品質だが知名度が低いソフトの採用を拒否することは実はかなり多いのが現実だ。そういった意味でも、今回発表されたSeasarプロジェクトの戦略は、とても有意義であろう。
お客様が、採用するソフトは何でも良いと言ってくれるような開発案件ばかりなら、今回発表されたような事など無くても、開発者のリスクだけでOSSを採用できるのだが、なかなかそういう案件は少ないのが現実だろう。お客様に対して、法人格がありますよ、とか言えるのは本当に有効だと思う。
まぁ、本当は、OSS知名度などは関係なくて、費用対効果があるかで判断してくれれば良いのだが、なかなか難しいねぇ。

テクノロジー・ストラテジー

Kuinaの紹介。EJB3ベースのS2Daoといった感じでした。S2Daoよりコスト削減できるような感じもするが、実際のところはどうだろうか。EJB3を知っているという前提なら、S2Daoよりも学習曲線は緩やかだと思う。しかし、EJB3+Kuinaとなると、S2Daoの方が簡単なように思った。でも、今後はEJB3の知識は必須の常識になったとしたら、EJB3は知っているという前提の世界になるので、考え方を変える必要があるのかもしれない。
Kuina StadioというEclipseプラグインも計画されているそうだ。私は、O/RマッピングPluginを作ろうと思っていて、そのライブラリとしてS2Daoプラグインを作る必要があると思っていたのだが、どうしたものだろうか。
このセッションは仕事の関係で16:35に退出したので、たぶん半分くらいまでしか聞けなかったのが心残りなのだが、また知る機会もあるだろうと思う。