ソロモンの指環―動物行動学入門

ソロモンの指環―動物行動学入門

ソロモンの指環―動物行動学入門

↑著者はコンラート・ローレンツ、訳者が日高敏隆です(from nishis)。
動物の行動や、動物との付き合い方の入門書。本書を書くに至った理由が巻頭に書いてある。書籍を数冊読んだだけで、実際に動物を観察してもいないのに入門書を書く連中がいる。しかも内容も間違っている。彼らへの怒りと、動物への愛情が、本書を書いた理由だそうだ。素晴らしい。
本書の内容は、実際に動物を観察しながら分かった、動物の自然な行動について楽しく書いてある。観察といっても檻の中で飼育するのではなくて、筆者の自宅で放し飼いなので、普通の人なら耐えられないような環境だったようだ。動物にもストレスに鈍感な者や、敏感な者が居るそうだ。敏感な動物を檻に入れては、その動物本来の生き生きとした行動を見ることが出来なくなってしまう。自然な姿を間近で観察した記録を、楽しく分かりやすくしたのが本書であろう。
また、動物の飼い方ガイドも書いてある。いろいろな動物との付き合い方が、具体的にリスクを含めてしっかりと書いてあるのが良い。犬を例とすると、誰にでもなついて付いていってしまい盗まれる犬もいれば、子犬のときに主人を定めて一生付いていく犬もいる。後者の犬の場合は、手放すことになったら、主人を失った犬はストレスでやつれるか、目的のない野犬に成り下がるかの、どちらかになってしまうそうだ。
動物好きなら、ぜひ一読を。