オブジェクト指向でなぜつくるのか―知っておきたいプログラミング、UML、設計の基礎知識―

オブジェクト指向でなぜつくるのか―知っておきたいプログラミング、UML、設計の基礎知識―

オブジェクト指向でなぜつくるのか―知っておきたいプログラミング、UML、設計の基礎知識―

いろんな要素が取り込まれ絡み合ったモヤモヤとした概念となったオブジェクト指向を、その歴史や仕組みを元に整理し直して、元々のオブジェクト指向と、そうでは無い物に切り分ける事で、シンプルに分かりやすくオブジェクト指向を解説することに成功している。あれもこれもオブジェクト指向と言うけれど、なんか漠然としていて良く分かんないなー、っていう人には特におすすめ。
特に、プログラミング技術としてのオブジェクト指向と、汎用の整理術としてのオブジェクト指向が一緒に混同されて説明されている現状が、オブジェクト指向を分かりづらくしている最大の要因であるとされている部分の説明は巧い。さらに汎用の整理術を、集合論と役割分担に分けて考え、それを組み合わせると、世の中のほとんどの物(Object)を対象とできるので、非常に強力な道具となる。しかし、それはプログラミング技術とは別物であると明確に分類しているのが良かった。
あとは、クラスやインスタンスが、実際にマシンのメモリの中にはどのように作られるのか、ガベージコレクタが不要なオブジェクトと判断する方法などを、図を用いて具体的に説明してあるのも、実感が持てて良いのではないでしょうか。
Javaプログラミングは出来るけど、オブジェクト指向って良く分かんないなっていう新人あたりに読ませたい本の一番になりました。以前は、青木さんの入門書だったのですが、こっちは3年生以上に効果的かなと思っていたので、その前段階でも効果がある易しい本が出来て良かった。