伽藍とバザール

伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト

伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト

オープンソースに携わる人の必読書。なのだが、オープンソースのビジネスを長年やってきた割には、今ようやく読んだことを、心より恥じる。

第一部 伽藍とバザール
Gnuの伽藍方式と、Linuxのバザール方式を比較した論文。きちんと組織だった開発方法の伽藍方式では、プロダクトの方針やリリース時期などが、そのリーダーに権限が集約する。対するバザール方式では、みんなが寄って集って作り上げて行く方法で、そのリーダーは関係者や提供されるプログラムの調整にとどまり、強い権限は持たない。対比させると、なかなか興味深い。また、バザール方式だとしても、一番最初のリリースまでは伽藍方式になるとの記述もあり、なるほど、その方が巧く行くだろう。
第二部 ノウアスフィアの開墾
オープンソースソフトの作者の世代交代のパターンについて論じたあと、オープンソースを創る人の利益について論じている。普通はオープンソースの開発に関わったからといって金銭が得られるわけではないのだが、いったい何故それほどまでに熱心に携わるのか。いろいろな理由を述べてあるのだが、エゴについての意見が鋭い。
第三部 魔法のおなべ
オープンソースとビジネスについての論文。オープンソースによる商用ソフトへの影響や、商用ソフトをオープンソースにするメリット、またはクローズドにしたままのメリットなどについて書かれている。
その他
インタビュー、訳者解説、あとがき。訳者解説は、Gnu GPLの誕生など、本編を補完する情報をちりばめながら解説されていて、より良く理解できるように書かれている。